【連載】カンダテ的”推し”フェミBOOK Vol.2「神さまを待っている:畑野智美」

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カンダテ
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こんにちは!編集部のカンダテです。
この連載ではフェミニストな、フェミニズムに関心があるあなたにおすすめしたい一冊を紹介させて頂きます。

今回紹介したい小説はこちら、畑野智美さんの『神さまを待っている』です。

『神さまを待っている』畑野智美 | 単行本 – 文藝春秋BOOKS

「貧困女子」のリアル

この小説は主人公である文具メーカーに勤める派遣社員の水越愛(26歳)が、職を失うところから始まります。

家賃が払えず漫画喫茶暮らしになった彼女を”出会い喫茶”に誘うマユ。
そこで出会ったシングルマザーのサチや、家出少女のナギ。

それぞれの「貧困女子」があまりにリアリティをもって描かれているので、読んでいて苦しくなるところもありました。

コロナ禍の今だからこそ

そんな小説を推すすめすることに少し、迷いがあったのですが、こんな状況だからこそ読んでみてほしい!そう思ってこの記事を書くことにしました。

今年突如流行した新型コロナウィルスの影響から、非正規で働く人は2020年7月の時点で(前年同月と比較して)131万人減少しました。内81万人が女性です。

突然の解雇、収入減の可能性がぐっと身近になってしまった今、そうした状況に対する政府のサポートは十分だと言えるでしょうか。

また、この小説には実親から性的虐待を受け家を出たナギという少女が登場します。

彼女は「神待ち」(行き場のない女性が、その晩泊めてくれる男性を街角やSNSで探す行為)でその日の「居場所」を探す日々を送っています。

今年4月のステイホーム期間中、営業自粛の関係で漫画喫茶があいていなかった為、SNS上では「コロナで行き場のない子、力になるよ」などと呼びかける投稿があったそうです。

こうした危険な行動を選んでしまう前に、ナギのような少女をどうにか守ることはできないのでしょうか。

「身体を売る」しかない…?

コロナ禍の4月、ラジオ番組であるお笑い芸人が「コロナ明け(仕事を失った)なかなかの美人さんがお嬢(風俗嬢)をやりますよ」と発言し批判が上がったことを覚えてらっしゃる方も多いかと思います。

そういった発言が自然に出てしまった、そしてそれを笑って受け止めた人が少なからずいたということは、それだけ女性の貧困が性産業に直結してしまうという現実をわかっているということでしょう。

「誇りをもって、選んでこの仕事をしている」
そういう方もいると思います。

しかし、雇用における性別の不均等や、本作に出でくるシングルマザーのサチや性被害者のナギの事を考えると、私は現段階では性風俗という仕事を積極的に肯定することができません。

同じ仕事をしているなら、性別に関わらず同一の賃金が支払われる。
結婚や出産を理由に、女性が仕事で不利益を被らない。
養育費がきちんと払われる仕組みをつくる、もしくは、十分な経済的支援をもってシングルマザーが貧困に陥らない。
性被害を受けた人が、すぐにケアを受けられる。(性被害者、DV被害者がそれを「被害」だと受け止められず、大したことではなかったことにしたいなどの思いからあえて性産業で働くというケースは多いそうです。)

それらの事が実現されてようやく、「自由意志」による性風俗という選択について語れるのではないかと私は思います。

本作で愛は、ワリキリ(売春)をすることに躊躇いがありますが、そうした女性が生きる為「これしかない」となってしまいかねないということを変えていかなければ、安全な・住みやすい国とは言えないでしょう。

さいごに

いまの日本は職や家を失ってしまった人が、「助けてほしい」と言えるような社会だとは私には思えません。
「自己責任」で片付けず、社会が、そして私たちが出来ることは何があるのか…
今この時代だからこそ改めて考えたいと思う作品です!

カンダテさん
アイドルと読書が好きなフェミニスト(ハロプロ、ジャニーズ、韓国女性アイドルグループなど守備範囲は広め)
2018年医学部不正入試問題をきっかけに女性差別、フェミニズムに関心を持つホテルや婚礼など、接客業でのパンプス規定経験から#KuTooに賛同しています。森絵都さんの『カラフル』がバイブルで、最近気になる作家さんは凪良ゆうさん、奥田亜希子さんです


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