【連載】自民・岸田さん、炎上。コメンテーターにフェミニストはいないのか

MIND

首相の後継者を決める自民党総裁選に出馬表明した岸田文雄政調会長(63)がツイッターで公開した夫婦写真について、ネット上で多くの感想が寄せられた。

 

様々な意見が見られ、「素敵なご夫婦ですね」「食事の時にマスクしてる違和感」「昭和感」「夫婦が対等とは思えない」などの感想が飛び交った。

フェミニストの私は、最初この写真を見たときの率直な意見は「お手伝いさんかと思った」だった。

当然だが、この写真を見て全てを決めつけるようなことはしていない。「普段からこうやって料理させてるんだろうな」とは少しも思っていないし、「この夫婦は対等じゃない」なんてジャッジもしていない。

しかし、この件が騒がれニュースになり、翌日の報道番組で報じられたときのコメンテーターたちの感想や、世間からの反応には大変違和感を持った。

乙武氏の「他人の家庭のあり方に対してここまで恥ずかしげもなく違和感を表明できてしまう感性に、むしろ“強烈な違和感”を覚えました。」

アンミカ氏の「男女が逆だったら褒められるんでしょ?それって男女が対等と言わないのじゃないか。」

立川志らく氏の「多様な家庭があるということをなぜ認めないのか。」

などだ。

世間には、「ひとの家のプライベートに文句つけなくてもいいのでは」、「奥様に失礼なリプがありますね」、「いちいちケチつけなくていいじゃん」という声があがった。

日本の夫婦のあり方の現状と、もう一歩先に進むためのコメントをしてほしい

今回の岸田氏の写真について批判的なコメントをした人の全てがそうとは言わないが、多くの人は岸田氏の家庭にケチをつけたわけではないのではないか。

まず第一に、日本の現状を考えてほしい。

志らく氏の言った「多様な家庭があるということ」だが、果たして今の日本は本当に多様な家庭が実現しているのだろうか?

実現しているということは、そのそれぞれの家庭が「同じように扱われているのか」ということ。
そして、「本当は望んでいないけどそうせざるを得なくなっている人たち」がいないのか、いるのなら偏りはないのかということ。

本当は姓を変えたくないけれど、「女性が変えるのが普通」という理由で妻が姓を変えざるを得なかった家庭。
本当は働き続けたかったけれどど、「女性は家庭に入るべき」という理由で妻が専業主婦になった家庭。
共働きなのに、「女性が家事育児を多く負担するのが普通」という理由で、家事育児を「手伝う」という認識しか持てない夫のいる家庭。
働くには「夫の許可」をもらわなければいけない家庭。
家事育児は仕事とみなされず、「文句を言うなら俺くらい稼いでこい」と夫に言われ、対等な夫婦関係を築くことのできない家庭。
家にいることを強要されるのに、夫が妻に必要な生活費を渡さない経済的DVが行われている家庭。

そういった家庭が日本にはまだたくさん溢れていることを、岸田氏はじめ、先ほどのようなコメントをした人たちは知っているのだろうか。

なぜ、「家事育児は妻がするものだ」「妻は夫を支えるものだ」という思い込みが作られるのか

そのような家庭にいる夫たちが妻の気持ちを無視し、「家事育児は妻がするもの、妻は夫を支えるものだ」と思い込むようになったのは、一体何故なのか考えたことはあるのだろうか。

30年以上前、「行動する女たちの会」が「私作る人、僕食べる人」のCMになぜ抗議し、なぜ取り下げることになったのか、考えたことはあるのだろうか。

岸田氏は、一般人ではない。彼の発信するツイートは、多くの人に影響力を及ぼすものだ。
既に日本で上記のようなことがなくなり、夫と妻が対等となり、同性婚が認められ、夫婦別姓が認められ、妻が女性だと言う理由で家事育児を押し付けるようなことがなくなり、「多様な家族」が本当に日本で実現していたら、今回このような話題に上がることもなかったかもしれない。

しかし、そのような国の首相候補になっている人であったら、今回のような写真をSNSにあげることもしないのではないかと予想する。

岸田氏が今回、なぜこの写真をあげたのか私にはわからない。

ジェンダーギャップ指数121位の国でこのツイートをあげる、ジェンダーへの鈍感さなのだとしたら、岸田氏に今後の女性差別に関する政治は全く期待できないと感じる。
メッセージになることを理解してこの写真をあげたのならば、やはり今までと変わらない男性社会の、うわべだけの「女性活躍」を進めるような政治が続くのだろうな、という感想を持った。

岸田氏の家庭がどんな家庭であろうと、そんなことはどうでもいい。プライベートにケチを付ける必要もない。
しかし、この岸田氏の写真が話題になったことに関するメディアや世間の反応自体がやはり女性差別・ジェンダー問題への理解が追いついていない、ジェンダーギャップ指数121位にふさわしいものだと思った。

アンミカ氏の「男女逆だったら褒められるのに。」、なぜ男女逆だったら褒められるのか、まで深めてほしい発言だった。
男女逆だったら褒められるとういことは、まだまだ男性が妻を支えるということが一般的ではないということ、そして褒められるというのはそれを望んでいる人がいるということ。

「文句ばかり言って」「粗探しばかりして・・・」と、うわべだけを見て判断せずにその背景には一体どういった問題が含まれているのか、きちんと考えて議論されるようなメディアやコメンテーターがいたら、日本の状況は変わっていくのかもしれない。

やはり、テレビという場にもっとフェミニストが必要だし、フェミニズムをテーマにした番組も必要なのだと思う。

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