主に性暴力に関する取材をされ続けている、ライター小川たまかさんの初の著書。
小川さんは、初心者にもわかりやすい記事を書かれていて、この本もとても読みやすいです。
けれどはっきりといまの日本の性差別の問題について指摘されており、すべての人に読んでほしい一冊です。
日常に溢れている性差別・性暴力
性暴力、痴漢、他人の容姿に口出しをすることについての話、訪れた飲食店で裸の女性のポスターが貼ってあった話、性交同意年齢が13歳以上であるという話、「男尊女卑という言葉をひどく嫌いな男性がいる」という話。まだ記者会見を開く前の、ジャーナリスト伊藤詩織さんとの出会いからこれまでの話。
特に印象的だったのは、「外見を褒められたら必死で否定しなければいけないあの雰囲気について」という章。
どんな顔、外見を美しいと思うかは本当に人それぞれだ(もちろん、多くの人が美しいと感じる外見の人もいるけれど)という話から、テレビのバラエティ番組で男性司会者がゲストで来ていた女優さんに「お綺麗ですね」と言い、それに対して「ありがとうございます」と返した女優さんに対して「否定しないんだー、ほー」と言う男性司会者。
これはテレビの中だけでなく、日常生活でも見られることだと思います。著者はこれを「ルックスを商売にする人であっても、『そんなことないです』と否定しなければならない、その茶番って一体なんなんだ」と書いています。
「あいつ自分のこと絶対可愛いと思ってるよね」、が悪口になってしまうこの日本。どうしたら女の子は自分のことを好きになれるのか、と考え込んでしまいました。
なかったことにされてきた側から語る
日本にはどんな性差別、性暴力、男尊女卑の問題があって、どれだけそれが「なかったこと」にされてきたのか。
性暴力からフェミニズムの問題まで、丁寧に冷静に向き合う姿勢。
そして小川さん特有のなんとも言えない言葉のチョイスの面白さ。
何かにモヤモヤしている人がいたら、ぜひ読んでほしい一冊です。
著者情報:小川たまか
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